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1. TIA とは何か?

The Internet Adaptor (TIA) は、marketplace.com の人達によって作成された、シ ェルアカウントから SLIP 接続をシミュレートするソフトウエァです。価格は、シ ングルユーザ用ライセンスが 25 ドル、その他にサイトライセンスも入手可能です。 TIA は標準的な TCP/IP と SLIP が使える OS があれば、どのようなマシンでも クライアントとして使用できます。

1.1 TIA はどのように動作するか?

TIA がどのように動作するか、そしてどのような制限があるのか、という事を理解 しておくのはとても重要なことです。まず第一に、あなたの Linux システムに TIA をインストールする必要はないという事に注意して下さい。TIA は、あなたのリモ ートホスト上でのみ動かせば良いのです。あなたの Linux システム上に必要なのは、 TCP/IP と SLIP がサポートされたカーネル(カーネルについては後で触れます)と、 いくつかのクライアントです。

動作の仕組み:
あなたの Linux システムからのコマンドやデータをホストへ送るには、SLIP を使 用します。送られたデータは TIA が受け取り、ネットワークへ中継します。そし て、ネットワーク側から返されてくるデータは一旦リモートホスト上のあなたの シェルアカウントへ送られ、それを TIA が横取りしてあなたの Linux システムへ SLIP を使って転送します。したがって、ネットワーク側からはあなたはリモートホ スト上で行動しているように見えますが、あなたの Linux システムは実際にネッ トワークに繋がっているかのように見えるのです。

上記のように多少複雑な手順を踏んでいるため、ネットワーク側から送られてくる データは時に混乱を招きます。例えば、talk は TIA を通しては使えません。なぜなら ネットワーク側からやってくる talk のリクエストはリモートホスト上の talk daemon を動かそうとするからです。

また、本当の SLIP 接続と TIA を使った接続の大きな違いは、独自の IP アドレスが 無いということです。つまり、何度も言うように TIA はダイアルアップのシェル アカウントを普通の SLIP 接続かの様に見せているだけなのです。

1.2 term との違いは?

では結局 term とどう違うのか? 筆者の意見では term を使うのは、ちょうど昔の 自動車みたいにクランクを回してエンジンを始動するようなもので、不要な努力だけ が多い様に思われます。もちろん、何らかの理由であなたの Linux システムへの root でのアクセス権が無く、しかも誰かに SLIP や dip をインストールしてもらう ことも出来ない状況なら、仕方がありません。もし term についてもっと詳しく 知りたいなら、Sunsiten にある HOWTO ドキュメント ( 日本語訳) を読んで下さい。

1.3 SLiRP との違いは?

SLiRP は新しく、しかも GPL 準拠なのでフリーなソフトウエァです。一方、TIA は フリーではないのですが、そのかわり非常に安価で安定していてサポートや ドキュメント類も充実しています。もしどうしても SLiRP のほうが良いと感じるなら 使ってみて下さい。 これから説明してゆく TIA 用の諸設定に多少の変更を加えるだけで SLiRP も使える はずです。ただし SLiRP に関して筆者は良く知らないので、メールで質問するのは 止めて下さい。もちろん筆者はフリーソフトに対しては好意的ですが、これは TIA に 関する文書なのでこれ以上言及しません。筆者のホストはサイトライセンスを持って いるので、TIA にお金を払ったわけではありませんが、TIA には金額相当かそれ以上 の価値があると確信しています。

前置きはこのくらいにして、セットアップに移りましょう。


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