普通バックアップには、テープなどの、先頭から順番にしかアクセスできな い媒体を使いがちです。しかしそうする場合には、内容をもとに戻す際に全体 のバックアップを使いたくはないでしょう。全体のバックアップには、不要な ファイルが山のように含まれているからです。ですから、そのまま戻したいと わかっている個々の部分だけの小さなバックアップを取っておくほうがよいで しょう。具体的にはのちほど示すことにします。
では、なぜ全体のバックアップしてから始めるのでしょうか。2つの大きな 理由があります。第1は、新しいシステムのインストールに壊滅的に失敗した 時、最小限の被害で出発点に戻ることができる余地を残しておくこと。第2に は、どんなに注意して再インストールの準備をしても、ひとつやふたつの大切 なファイルを見過ごす可能性はとても大きいということです。そのような場合、 すべてのバックアップからひとつやふたつのファイルを復旧する方が、ファイ ルがない状態の面倒よりはましでしょう。
時間とスペースの節約のため、昔のシステムのパッケージがそのまま保存し てある場合には、mtime か ctime がもとのパッケージより新しくなっている ものだけをバックアップするのも良いでしょう。