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1. イントロダクション

このドキュメントは Linux 上で PPP や SLIP サーバデバイスとともに プロクシ ARP (Address Resolution Protocol) を使おうと考えている人 を対象にして書かれています。 他の文献では、プロクシ ARP を 「gracious ARP」 (愛想のよい ARP)などと 呼んでいることもあります。 プロクシ ARP を使いたいという要求はよく出ます。これが使えない場合、 ソフトウエアの不良だと考え、なぜ使えなくなってしまったのだろう、 といぶかる人達もいます。

このドキュメントが助けとなって、プロクシ ARP はどのようなときに有用で、 どのようなときには使わなくてもよいのかをよく理解してもらえるよう 願っています。

プロクシ ARP を使うと、「(プロクシ)サーバ」における経路テーブルさえ 変更すれば、他のシステムでは経路テーブルを変更する必要がありません。 このことは、リモートシステムの動的なネットワーク接続が可能になると いうことを意味しています。

ここで、「サーバ」と呼んでいるのは、ある意味では誤りかもしれません。 TCP/IP は、ピアーツーピアー(対等)のネットワーク環境だからです。 他のシステムでは、サーバーが資源を提供することで、「共有」され、 クライアントはこれを「利用」しますが、TCP/IP には、この手の クライアント/サーバー関係はありません。 とはいえ、「電話を取るコンピュータ」をサーバと呼び、 「電話を架けるコンピュータ」をクライアントと呼ぶのは便利ですよね。

Linux のネットワークソフトは プロクシ ARP を直接サポートしています ので、他のシステムで使われている proxyarpd のような特別なデーモン は必要ありません。

PPP をサポートするコード(pppd)と、SLIP をサポートするコード(の少 なくとも一つ、dip-uri)の両方が proxy ARP をサポートしているはずです。 これに加え、ネットワーク用プログラム ARP も経路テーブルを管理し、 表示することができるはずです。

プロクシ ARP がどのように動作し、どんな時に使われるのかを理解する ためには、一般的にネットワークがどのように機能するのかについて 基本的理解が必要です。 以下の3つの章では TCP/IP ネットワークがどのように機能し、ルーティングが どういう風に動作するのか、を簡単に述べます。


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