この文書の目的は linux システムを破壊し、再生させるまでのコツを提供 することです。この文書は決して、だれにでもおいしく作れる料理のレシピで はありません。けれど考慮しておくべきことや、作業の順番などに関する多少 のアドバイスにはなると思います。私が最初のアップグレードをする前に誰か がこのようなことについて書いていたら、私にとって役だっていただろうと思 います。そこで、この文書が Linux マシンを再構築する人に役に立てればう れしく思います。
恐らくあなたの進む道は私とは異なっているでしょうから、この文書を福音 のように受け取らないでください。この文書中で使っているディレクトリの名 前さえ、あなたに必要なものとは違っているかもしれません。たとえば、人に よっては /home のかわりに /usr/home を使っています。さらに /u としてい る人もいれば、(その潔癖さには感心しますが) すべてのユーザーズディレク トリを /usr に直接おいている人さえいます。私はあなたがご使用のシステム について特別にはからうことはできませんから、自分のマシンで使用している 名称を使うことにします。
まず言っておきますが、私は slackware パッケージを使っています。そし てこの文書の前提として、 linux kernel をインストールして kernel を構築 するために十分な RAM やハードディスクに十分な空きスペースを持っている と仮定していま。システム構成が違っているなら、私のアドバイスがそのまま あてはまらないことがあるはずです。それでも以下に示す作業のあらましが再 構築作業の役に立つであろうと思っています。
いい点に気がつきましたね。しないですむなら、アップグレードなどやめま しょう。(それが、この文書の中の一番重要なアドバイスです。) しかし、アッ プグレードを避けられない時もあるものです。
たとえば、私は 4Gb のハードディスクを付けました。ところがあとでわかっ たのですが、いにしえの Slackware 2.0 vintage linux は 2Gb 以上のハード ディスクを認識できずに錯乱してしまったのです。そこで私は 当時の最新版 Slackware 2.3 にアップグレードしました。そのアップグレードで泥沼にはまっ てしまいました。この経験がこのような文書を書いている理由の一つでもある わけです。私はすることなすこと全部間違えてしまい、唯一幸運だったことは、 もう一台別の Linux マシンを持っていて、それが私を災いから救ってくれた ことです。
もうひとつの例をあげましょう。Slackware 2.3 パッケージをインストール したままマシン(前に私が失敗したのとは違う他のマシン)では、 私には、1.3 シリーズ の a.out Linux kernel を動くように構築することが出来ませんで した。それで私は Slackware 3.0 の CDROM を購入し、ELF システムに移行し ました。この時は、先の苦い経験のおかげもあり、前回よりはうまく再インス トールできました。この再インストールの経験がこの文書で紹介するほとんど のアドバイスの土台になっています。
妙な話ですが、そのほうが安全なのです。既存の linux システムに上書き インストールしてしまうと、新旧のバイナリや新旧の設定ファイルが混在して しまい、管理するには混沌とし過ぎたものができあがってしまいます。
システムを一掃し必要とわかっているものだけをもとに戻す方法は、大胆な 方法ですが、すっきりした結果を得るには効果的な方法です。(もちろんここ では新しい Linux パッケージをインストールすることについて話しているの であって、1つや2つの部分パッケージだけをアップグレードするということ ではありません)。すべてのものの再インストールを避けるもっともよい方法 を的確に言うなら、個々の部品を新しいものにしておくことです。とりわけ gcc とその関連ライブラリや binutil の道具達に注意します。自分の使用し ているものがそれなりに新しく、常に新しいものを追加して行け、さらに、必 要に応じてコンパイルしたりできるのなら、全体をアップグレードする必要は ないでしょう。)。
Patrick Volkerding (彼もまた一掃してきれいにするアップグレード法を勧 めています)は、うまく動いている a.out システムに上書きで ELF システム ををインストールするのは災難を招く方法だと指摘しています。少なくとも、 上書きインストールを試せるほどに詳しい人は、このガイドを読む必要はない でしょう。
ELF への移行ほど大がかりな変更がない場合でも、ゼロからやり直すのがよ いですよ。
もちろんあなたのシステムがどれくらい複雑な構成かということによります。 しかしうまくできたアップグレードの場合は(失敗した方ですか?それは聞か ないで!)、バックアップのために10時間、システムの再構築のためにログ イン出来るようになるまでに6時間、必要なものをもとに戻すのにさらに半日 ほどを費しました。時間がたつにつれ、私が思ったほどきっちり出来てなかっ た細かな点に気づきましたが、それらは遭遇した時に直しています。しかし、 普通の複雑なシステムを再構築するには、主要な作業をするのに20時間は必 要になるでしょう。
私は CDROM からインストールしたので、ハードディスクから再インストー ルするなら、もう少し短い時間で出来るかもませんし、逆にフロッピーを使用 するならもっと時間がかかるでしょう。高速の Pentium を使っているならもっ と早いでしょうし、386 なら私の場合よりも時間がかかるかもしれません。雰 囲気はわかりましたね?
前置きはここまでです。以下は、やろうと決心した場合にすべきことを紹介 します。不屈の精神とリポビタンD でもなんでも用意してしっかり準備してく ださい。