8.29. 境界の平均色...

8.29.1. 概観

図 15.168. 「境界の平均色」フィルタの使用例

境界の平均色フィルタの使用例

元画像

境界の平均色フィルタの使用例

境界の平均色」フィルタ適用後


境界の平均色... プラグインは活性レイヤーもしくは選択範囲の境界線付近の全ての色の使用頻度を集計し、 ある程度似ている色を合算しながら最多数を占める色を求めます。 その平均的な色が描画色となりツールボックスの色標識に表示されます。 このフィルタの実用例としてはWeb用のページの背景色を設定する際にできるだけ画像の色と境界線でなじむ色を見付けるのに役立つでしょう。 ちなみにこのフィルタによる操作は画像を加工しないため、 操作履歴に記録されることはなく Ctrl+Zのような取り消し操作で元に戻すことができません。 [なおこのフィルタはRGB画像でのみ作動します。 画像がグレースケール色やインデックス化色の場合はメニュー項目が灰色無効となって使用できません。]

8.29.2. フィルタの呼び出し方

画像ウィンドウのメニューより +色の情報境界の平均色...

8.29.3. オプション

図 15.169. 「境界の平均色」フィルタのオプション

境界の平均色フィルタのオプション

境界サイズ

色を採取する外縁の 太さ を設定します。 初期状態ではピクセル単位ですが引き出しメニューから他の単位や割合にも切り替えられます。

色数

バケツサイズ は合算の対象となる同系色の色数に上限を設ける際に参考にされます。 バケツサイズ値が低い (つまりバケツの数が多い) ときは平均的な色を適度な精密さで算出できます。 ちなみに適度な精密さといっても良好な結果に必ずしも結びつきません (つぎの例をご覧ください)。

8.29.4. 「境界の平均色」フィルタの性質が現れる例

図 15.170. 元画像

元画像

平均色抽出に供される例図。 使用された色は純赤 (255,0,0)、 純青 (0,0,255)、 ならびに緑系の4色 (0,255,0)、 (63,240,63)、 (48,224,47)、 (0,192,38)。


図 15.171. 「バケツサイズ値」を8に設定

バケツサイズ値を8に設定

結果として赤 (254,2,2) を得る


バケツサイズ値が低くなっています。 つまり多くのバケツを使っています。 色が僅かでも異なれば別のバケツに収めることになります。 この例では赤を収めたバケツがいちばんかさ高くなります。 結果として純赤にかなり近い色 (254,2,2) が選ばれツールボックスの描画色に設定されます。

図 15.172. 「バケツサイズ値」を64に設定

バケツサイズ値を64に設定

結果として緑 (32,224,32) を得る


バケツサイズ値が高くなったのでバケツの総数は減りました。 似た色 (ここでは緑) は同じバケツに入ります。 すなわち「緑系」の色を収めたバケツが最もかさ高くなります。 このバケツ内の色はいずれも8ビットコードで見ると (00******,11******,00******) のようにはじめの2ビットが同じです。 残りの6ビットはどのチャンネルでも 000000 から 111111 (0から64) までの範囲があります。 つまりこのバケツ内では赤のチャンネルなら 0 から 63 の範囲、 緑のチャンネルなら 192 から 255 の範囲、 青のチャンネルなら 0 か 63 の範囲の値がありえます。 このようなチャンネル値の下限と上限の平均を求め、 赤 (63 + 0)/2、 緑 (255 + 192)/2、 青 (63 + 0)/2 から得た緑 (32,224,32) が答えとなります。