GIMPは画面上のダイアログを極めて柔軟に配置できます。 ダイアログをそれぞれウィンドウとして置く方法のほか、 ドック上で纏めることもできます。 ドックとは、 ツールオプションダイアログやブラシダイアログやパレットダイアログ等の常設ダイアログを重ねあわせて保持する容器ウィンドウのことです。 ただし環境設定ダイアログや画像ウィンドウのような非常設ダイアログは入れられません。
GIMPは初期状態で2種類のドックがつきます。
レイヤー, チャンネル, パスのドック
ブラシ, パターン, グラデーションのドック
いずれのドックでもダイアログがタブ化されています。
ツールボックスは 補助ウィンドウ です。 普通はツールオプションウィンドウがその下にくっついていて、 呼び出されたツールのオプションが表示されます。
ドッキング可能なウィンドウの一覧表は
→ のサブメニューにあります。 この一覧表でダイアログを選ぶとそのダイアログが現れます。 既にどれかのドックにそのダイアログが入っていた場合は隠れたダイアログならば表に見えるように出てきます。 まだそのダイアログが開かれていなかった場合は独立したウィンドウとして開かれます。 ちなみにこのサブメニューが使えるのは少なくともひとつの画像が開かれていて編集できる状態になっているときだけです。いずれのドッキング可能なダイアログも合体バーと合体タブ領域の2種類の合体用領域を備えています。 合体タブ領域はドックに入るとウィンドウ全体を包み込みます。
ドッキング可能なウィンドウには2本の 合体バー がついています。 これらは非常に目立たないなかなか気付かれにくい薄い灰色の桿なので、 ほとんどの方はこうして指摘するまでそのような物の存在をご存じなかったでしょう。
合体できるウィンドウはどれにもひとつづつ下図で強調して示したところに 合体用持ち手 があります。 持ち手部の上にマウスを移動するとポインタが手の姿に変化します。 ダイアログを合体するには、 この持ち手部をクリックしたままで、
ウィンドウの合体バーの上までドラッグして放つとそのウィンドウの合体バーの下にダイアログがくっつきます。
合体タブ領域までドラッグして放つとダイアログがタブとなって加わります。
図 3.7. ドッキング可能なウィンドウ。 強調部分は合体用持ち手。
ダイアログウィンドウをドックまでドラッグしてゆくのに使われる部分を示したスクリーンショット。 ドックからダイアログを切り離すのにも用いられる。
合体バーにドラッグで曳き入れられるダイアログは一つとは限りません。 追加した分をふくめ、 それぞれがアイコンつきのタブに変化して並びます。 入りたいダイアログに対してはそのタブの爪をクリックして前面に出してから操作して下さい。
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注意 |
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タブメニューからでもタブ化ウィンドウの追加、 切り放し、 削除の操作ができます (後述)。 |
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ティップ |
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画像ウィンドウ上で Tab キーを押すたびにツールボックスと全てのドックは隠れた状態と開いた状態が切り替わります。 この機能はドックが画像の一部を覆い隠してしまったときに使えます。 さっとドックを片づけて作業をすすめたあと、 再び元通りにドックを表示できるのです。 ドック上で Tab キーを押した場合はドック内の焦点を移動できます。 |
一部のドックにはGIMPが読み込んだ画像全てを一覧にした 画像選択メニュー がついています。 このメニューには、 現在ドックで表示されている画像の名前が表示されています。 自動 ボタンを使うとタブメニューの の状態が変わります。 例えばレイヤーダイアログを使っていて別々の画像のレイヤーを見たいというときなどは、 画像選択メニューを使って見たい画像に切り替えるとよいでしょう。 とても便利な反面、 ドックで表示する画像を他の画像に切り替えたことを忘れないようにする必要があります。 この問題はタブメニューの を有効にすると回避できます。
初期設定では「レイヤー、チャンネル、パス」の各ダイアログをまとめたドックにはその最上部に画像選択メニューがついていて、 他のドックにはそれがありません。 画像選択メニューは後で述べる選択画像を表示 メニューでドック上に表示したり隠したりできます。 (ただし、 ツールボックスを含むドックには画像選択メニューを加えられません。)
ダイアログにはいずれもタブメニューボタンがあって、 これを押すとそのタブに関連した操作ができるようになっています。 上図はこの部分を強調しています。 メニューはその属するダイアログによって内容コマンドが少しづつ異なっていますが、 いずれも新規タブの生成および消去と分離の指示が含まれます。
タブメニューで提供されるコマンドは次のとおり。
タブメニューの最上部にはダイアログの機能に関連のある項目をまとめた脈絡メニューが載っています。 たとえば、 レイヤータブの脈絡メニュー
にはレイヤーを操作する項目が揃っています。はドック入りが可能な数々のダイアログからどれかを選んで新たなタブとして追加するためのサブメニューを呼びだします。
ダイアログを閉じます。 最後の一つのダイアログを閉じたときはドックも閉じられます。
この項目はダイアログをドックから切り離し、 そのダイアログだけが入った新たなドックをつくります。 このメニュー項目はタブをクリックしてドックの及ばないところまでドラッグで曳き出すのと同じ効果があります。
タブが ロック されるとこのメニュー項目は灰色無効になり使用できません。
ダイアログの移動や切り放しを禁じます。 これが有効なときは
メニュー項目が灰色無効となって使用できなくなります。大多数のダイアログはそのタブメニューに
の項目があり、 このサブメニューはダイアログ内で扱われる絵や図形の大きさを選べるリストになっています (上図参照)。 たとえば、 ブラシダイアログには利用できるたくさんのブラシが絵で表されていますが、プレビューサイズとはこういった絵の大きさのことを指しています。 初期設定値は です。この項目は複数のダイアログが同じドックに入っているときにサブメニューとして現れます。 ここでタブの爪の姿を選択できます (上図参照)。 5つの選択肢がありますが、 その全てがどんなダイアログにでも適用できるのではありません。
ダイアログの種類を表すアイコンのみを表示します。
現在の状態 はブラシやパターンやグラディエントのような画材を選ぶダイアログに対してのみ有効です。 選ばれた画材がタブの爪に表示されます。
ダイアログの種類をタブの爪に文字で表わします。
アイコンと文字の両方で表示しますのでタブの爪が横長になります。
これは現在選択されている画材を示すアイコンとダイアログの種類を表す文字とを表示します。
この二つの項目はブラシやパターンやフォント (書体) など、 一揃いからひとつの細目を選択するダイアログに対して指定するものです。 細目とその名前の組を縦排列に並べるか、 名前を省き細目を格子状に並べるかを選べます。 それぞれに利点があり、 縦排列にすればその名前まで詳しくわかりますが、 格子状ならば一度により多くの選択肢を見て選べます。 初期設定は一律にしませんでした。 ブラシやパターンのダイアログは格子状に、 それ以外のほとんどのダイアログは縦排列にしてあります。
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ティップ |
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項目が「一覧で表示」となっているときに、 キーボードショートカット Ctrl+F (GTK+のショートカット設定によっては Ctrl+S の場合もあります) を使うと語句記入欄が現れます。 これは検索窓になっていて入力された文字から始まる名前の項目へ即座に一覧表が繰り寄せられます。 「並べて表示」の場合は検索窓が開けません。 |
この検索窓は何も操作がない時間が5秒を過ぎると自動的に閉じられます。
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注意 |
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いろいろなツールのダイアログ上の「ブラシ」、 「フォント」、 「パターン」を選ぶオプションの一覧表で検索窓を呼び出せるショートカットが利用できます。 |
ダイアログのいくつかはその底部にボタンバーが表示できるようになっています。 たとえばパターン、 ブラシ、 グラデーションのダイアログにあります。 これは切り替え式になっていて、 チェックが入っている場合にボタンバーが表示されます。
これは二者択一です。 チェックが入りのときは、 画像メニューがドックの上部に置かれます ( 図 3.8. 「ドック。 画像選択メニューを強調してある。」 [=上図]参照)。 ただしツールボックス下に合体したダイアログ上では指定できません。 このオプションは画面に複数の画像を開いている場合にだけ意味があります。
このオプションも画面に複数の画像を開いている場合にだけ意味があります。 このときには画像選択メニューに表示されている画像とドック内の各ダイアログが表示している画像が常に同一です。 もし仮に
を無効にしていたときは、 画像を選択できるのは画像選択メニューだけになります。 もし有効ならば、 画像を直接活性化(つまり画像ウィンドウのタイトルバーをクリック) しても画像を選択できます。