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コンピュータの分野では、テキスト(text)という用語には 2つの大きな意味があります。 1つは、文字の列から成るデータのことです。 この意味からすれば、Emacsで編集するどんなファイルもテキストです。 もう1つの意味はより限定されていて、人間が読む自然言語の (テキスト整形処理後の場合もあるが)文字の列のことで、 プログラムやプログラムに与えるコマンドと対比されます。
自然言語には、エディタコマンドで支援したり利用したりできる構文的/様式的な 約束事があります。 たとえば、単語、文、段落、大文字といったものです。 本章では、これらを扱うEmacsコマンドについて述べます。 また、詰め込み(filling)、つまり、 段落の各行がほぼ同じ長さになるように再配置し直すコマンドについてもふれます。 単語、文、段落を横断してポイントを移動したり、 それらをキルするコマンドは、 自然言語テキストの編集を意図したものですが、プログラムの編集にも役立ちます。
Emacsには、自然言語テキストの編集用のメジャーモードがいくつかあります。 扱うテキストが純粋にテキストだけで単純なものであれば、 テキスト(text)モードを使いましょう。 これは、自然言語テキストの構文上の約束事を扱えるように、 Emacsを少しだけカスタマイズしてあります。 アウトライン(outline)モードには、 アウトライン構造を持つテキストを操作する特別なコマンドがあります。
テキスト整形コマンドを埋め込んだテキストに対しては、 特定のテキスト清書系ごとに別のメジャーモードが用意してあります。 たとえば、TeX用にはTeX nroff用にはnroffモードがあります。
テキスト清書系を使うかわりにエンリッチ(enriched)モードを使用すれば、 WYSIWYG(what you see is what you get、『見たとおりを得る』)スタイルで 整形済みテキストを編集することもできます。 つまり、Emacsの画面上で整形結果を見ながら編集できるわけです。